伝統の煉瓦窯 復活へ!

伝統の煉瓦窯 復活へ

喜多方のレンガを焼いた登り窯は近代化産業遺産の一つだ

伝統の煉瓦窯 復活へ
伝統の煉瓦窯 復活へ

 喜多方市の中心部から北に車で約15分。まだ雪深い同岩月町地区の田園地帯に「三津谷煉瓦窯」がある。10連房の焼成室が階段状に連なる登り窯で、大型の煉瓦を焼くことができる。色むらのある独自の風合いが特徴の煉瓦だ。

 窯は明治23年1890年に作られ、現存するのは大正時代に築かれた2代目。同市内に約100棟あるという煉瓦づくりの蔵をはじめ、塀や煙突などに使われているレンガや瓦のほとんどが作られたとされる。昭和57年1982年に合併前の市の有形民俗文化財に指定されたほか、経済産業省の「建造物の近代化に貢献した赤煉瓦生産などの歩みを物語る近代化産業遺産群」の一つに選ばれた。また、2013年グッドデザイン賞にも選ばれた。

 工場は昭和45年1970年に閉鎖したが、これを復活させようという市民グループらによって「三津谷煉瓦窯再生プロジェクト」が始まった。7年前からレンガを焼く実証試験が続いている。

 現場責任者の加藤裕之さん(48)は「8回ほど火入れして、どうにかコツがわかってきた。風合いが一般に市販されているものとは全く違う。まだ、手探り状態だが、何とか貴重な技術を途絶えさせずに済んだと思う。」と手応えを感じている。

 同プロジェクトのほか、市内では蔵再生を目指す様々な取り組みも行われている。ただ、市が蔵の所有者を対象に行なったアンケートでは、老朽化などで蔵が損傷しているという回答は約6割に上り、そのうち半数は「補修の必要はある」としている。「経済的な理由で取り壊されたりしている蔵はあまりに多い」という加藤さん。再生に向けた取り組みは、時の流れとの闘いでもある。

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