平成29年7月「短期的政策としてMICEに軸を」

会津広域観光推進議員連盟
平成29年度 総会 役員改選が行われ
研修会 講習 澁川惠男 氏 渋川恵男
「会津広域観光がめざすべきもの!」
と題しお話をいただきました。

「今やるべきこと、景観形成による交流人口増加と産業化」
工場誘致?!今さら!
地元住民の所得がしっかりと向上し
定着する産業を創出することが
短期政策として必要なこと。

 

新しい経済体系の樹立まで
新しい経済体系を創出するのは
大事なことだが、現在の経済規模を
維持しつつ、地域経済に打撃を与えないよう
緩やかに改革をしていかなければならない。
まず、人口減少で現在の経済規模を
保つためには、出生率2.2を
実現しなければならない。
中長期的には、2.2を実現するための
新しい価値感、仕組みづくり
インフラ整備が必要!
短期的には、定住人口が減っていく分を
どのようにまかないながら
経済規模を維持していくかである。
その対策として交流人口を増やすことで
産業創出を実現すること。

交流人口増における経済波及換算
会津に定住している1人あたりの
年間消費額は124万円
=外国人9人 呼び込めば
1人15万円の消費額 135万円
=日本人27人 呼び込めば
1人47,000円の消費額 127万円
=日帰り84人 呼び込めば
1人15,000円の消費額 126万円

日本におけるインバウンドの可能性
現在の日本においての2403万人
来ているインバウンドは日本の人口
1億2千万人に対して割合は
フランスやスペイン、アメリカと比べると
まだまだ、少ない。
 2030年まで4000万人にする目標
世界人口64億人のうち7億人が
海外旅行をしている。換算すると
9人に1人が海外旅行をしている。
フランスの場合、人口6681万人に対して
来仏外国人は、7000万人。
自国人口より多い人口が来仏している。

観光波及のGDPはまだ伸びる
旅行消費の生産波及効果は53兆円
53兆円で日本のGDPの6%
=日本の自動車産業に匹敵している。
各国GDPに占める
観光GDPのシェアは
日本は2.1%
オーストリア5.4%
フランス3.7%
イギリス3.4%

現在は日本が6%
アメリカ、フランス、スペインは
GDPに占める観光の生産波及効果は
10%になっており
まだまだ日本には観光の
生産波及を及ぼす
伸びしろがある。

国内旅行者も大事
国内旅行者とは、ビジネスにおける出張や
コンベンションなども含めると
国内交流人口は6億2000万人。
国内交流旅行者の居心地の良い
快適な空間整備が必要。

すぐに東京が手に入る時代
高度成長期、近代化の象徴
東京を真似たまちづくりが
地方にも広がり
「金太郎飴のまちづくり」と
揶揄された。
しかし、今、交通網の発達により
すぐに東京へ行けてしまう。
東京の価値に触れられてしまう。
そうなったことで
興味が中央東京に集中して
地方に魅力や興味が薄らぐのは
当たり前の話である。

観光の原点とは
まず「人はどこに行ってみたいか」
してみたいことは
「異文化を五感で体感すること」
行く前の興味をそそるのが
「安心で文化的な調和がとれた良い景観」
行った先で大事なのが
「見た目のファーストインプレッション」
第一印象の景観です。
景観といえばフランスのような
古い建造物の意匠を大事にし
守り継承していくこと
それが住民の誇りとして
培われていきます。

地元短大生に調査依頼
20年前、澁川氏が戻ってきた時の七日町通りは、高度成長期に東京を真似た金太郎飴のようなまちがつくられ、近代化と交通網の発達により東京が身近になったこと、周辺部に大型店舗が進出したりと、七日町通りで買い物をする人は離れていき、どこの地方でも問題となっているシャッター通りとなった。
そこで、七日町まちなみ協議会を発足し、当時は賑わっていた七日町通り、どのくらいの人の動向があるか、会津短大の学生にバイト募集し時給3000円で10名に、七日町通り動向調査を行った。結果は、いうまでもない観光来訪者はゼロ。

下平尾勲教授が協力
今から20年前の平成9年、福島大学経済学部より、当時の七日町について分析してもらい提案をしてもらった。
それは、七日町に年間100万人訪れれば、会津若松市の定住人口が、3万人増えたことと同じ経済効果がある。
あれから20年、七日町のゼロだった交流人口に対して現在は30万達成。あと10年で相乗的効果により100万人を達成する可能性は大きい。と澁川氏は言い、下平尾教授と行ってきた七日町のまちなみづくりを思い出し涙していた。

10年で100万人達成の可能性
七日町だけでも交流人口が100万人になれば、会津若松市としての人口が3万人増えたのと同じ経済効果がある。
七日町のまちの暮らしが良くなれば、誇りを育み相乗効果をもたらし、産業創出に繋がってくる。同時にキーパーソンが輩出されてくる。これらの効果により、個々のイベントや賑わいが創出されてくる。人が人を呼ぶ相乗効果。
賑わいが創出されてきたところで、もう一手を打った。それは、マスコミである。地元新聞記者と仲良く酒飲みをしながら、大きく賑わいが生まれた七日町通りについて語り合った。新聞記者を連れて先進地視察にも行った。それが新聞に連載された「七日町ルネッサンス」である。しかし、問題点も克服していかなければならない。

目的意識の履き違えで疲れ
七日町通りに賑わいが戻り、四角広場の整備も完了し、多くのイベントが開催されるようになった。しかし、最初の主催が同じ団体だったということもあり、おもてなしのためのイベントと言いつつも疲れが生じてきた。原因は「地域おこしの本幹がない。」それに気づいてからは、広場を使うプレーヤーを育て任せられるようになり、景観を意識づける取り組みを行い、今回よりも次回、年間1000人が交流する広場となり、毎年千人ほど増加し、平成27年度は30,000人に。
これらは、下平尾教授の考えを愚直に徹しているだけだと言う。

建物ファサード整備の好循環
地元住民の理解が得られ、外部からの交流人口が増え、賑わいと産業が創出されてきた。
住民の合意形成が図られ建物のファサード(外観)整備を行うことになった一件目は、山寺米穀店であった。息子さんが帰ってきて、閉めようと思っていた米穀店で穀物の粉を使った茶屋を行いたいということで、澁川氏と相談し、自ら250万ほどを負担し茶屋風にファサードを整備できた。
二軒目は、山寺米穀店の茶屋に続く整備にと、地元金融機関の会津しんくみ長谷川理事長から建物の外観整備に融資できることが伝えられた。これで、ファサード整備に関しても拍車がかかり、現在の景観が形成されてきた。しかし、ファサード整備から10年経過して、第二段階目のファサード、内装の整備を始めている店舗も多く見受けるようになった。さらには、会津しんくみ七日町支店自体も大規模なファサード整備を行い鉄筋コンクリートのビルから、屋根の傾斜と木目を基調としたファサードへ変化した。
 さらには、三年ごとに小規模ながらバージョンアップする改修を行う店舗もでてきた。これらの動きからファサード整備は、約250万円から300万円で行えることが定着し、ファサード整備を行うことで、250万から300万の投資に対する費用対効果も見えてきた。

マスコミPRの連鎖反応
 一軒目に行った山寺米穀店の茶屋に関して、地元新聞各社に「新しい七日町通りの茶屋発見」と銘打ち、投げ込み投稿した。すぐに取材が行われ「七日町ルネッサンス」という連載記事になった。次に、その新聞を見た県内テレビ局の取材でニュース番組の5分ぐらいのコーナーから、県内テレビ局の15分ぐらいの企画番組のコーナーにもなり、県内の方々の目に七日町の賑わいが伝えられた。今度は、県外の新潟、八重の桜に関連した中央のテレビ局が取材にきて旅番組やドラマの一コマに映った。
 これらの新聞やテレビを見ていた雑誌社が、七日町を取材することとなった。雑誌に掲載されれば、自分の店舗を印刷して取り置きすることもできる。また、コピーライターのキャッチフレーズなども引用することもできるようになった。この相乗効果で、日々、取材や雑誌掲載がされるまでとなり、波及が波及を呼び、マスコミ関係者の中でも記事を見つけたいなら七日町という定番のスポットとなっている。

七日町パティオ整備「芳賀家」
七日町パティオ整備

 

下平尾先生の功績
 平成29年7月25日に福島大学経済学部にお邪魔した。地域創造支援センターの地域連携課に伺い、副センター長の大越正弘教授と打合せを行うためだった。その打合せとは「行政の予算執行と住民期待のズレについて」数値の分析や実行すべきことについて、地元喜多方で研究調査を行い育成を図るものでした。
 その中で、会津広域観光推進議員連盟の平成29年7月2日研修会の講話で澁川氏の七日町まちなみ景観形成活動を愚直にも守ってきたことが、七日町に足繁く通っていただいた福島大学の下平尾勲教授から学んだ考え方だったといいます。この下平尾勲教授が、福島大学地域創造支援センターを設立されたご本人だったと大越副センター長から聞いた時には、何か新しいご縁が生まれた感じがしました。
 澁川氏が愚直にも守ってきたことが、産業や雇用の創出が工場誘致だけでなく、交流人口を増加させることで数値的に補完されること。下記の換算のとおりである。

交流人口増における経済波及換算
 住民が一年間一人が消費する額と、旅行や出張、研修、合宿、会議、大会、研究大会などで来られる方々一度の来訪で消費する額を換算すると下記のとおりになる。

会津に定住している1人あたりの
年間消費額は124万円
=外国人9人 呼び込めば
1人15万円の消費額 135万円
=日本人27人 呼び込めば
1人47,000円の消費額 127万円
=日帰り84人 呼び込めば
1人15,000円の消費額 126万円

 

七日町パティオ整備図面
七日町パティオ整備図面

 

短期的政策としてMICEに軸を
 MICE(マイス)は、Meeting(会議・研修)、Incentive(招待旅行、travel, tour)、Conference(国際会議・学術会議)またはConvention、Exhibition(展示会)またはEventの4つの頭文字を合わせた言葉である。
 ビジネスと関わりがあり多数の人の移動を伴う行事という、企業などの会議やセミナー、報償・研修旅行、国際会議や総会・学会、展示会・見本市・イベントなど、観光および旅行の観点から着目した総称で、「ビジネスイベンツ」とも呼ばれています。
 今できる産業創出を地元住民で今できることが交流人口を増やすための産業創出、そのためにまちなみや暮らしに誇りを持てる景観形成が重要にもなってくる。
 これからも、多くの住民に理解して頂けるよう合意形成を図っていかなくてはならない。

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会津広域観光推進議員連盟
事務局長 江 花 圭 司
(喜多方市議会議員)
「喜ばれる悦びを共に歓ぶ慶びに!」
 喜多方の働くマン
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